旅に出る理由
物を置く、持つ、片づける、散らかすなど、多くの人が日常的に行う動作があります。
私はそういったありふれた動きや思考から 彫刻 を考えたいと思っています。
行為の行く先で台座になって受け止めてみる。あるいは型を取って別の素材に置き換えてみる。
見慣れたものが全く別物として立ち現れる瞬間があります。
それは旅を終えて、家の扉をあけたときに嗅いだ家の匂いです。
旅とは、家を出て家に帰るだけの行為です。
それは無駄なことでしょうか、ずっと家にいれば何も失いません。
でも、家に帰って自宅の匂いを嗅いだ時、うっすら積もったホコリに気づいたとき、私たちは自分自身が変わっていることに気づきます。
このことに気づくために、自分にはりついた境界線を確認するために、人は旅をするのでしょう。
私は、彫刻における物理的、肉体的な労力を伴う作業を旅のようなものだと感じています。
それは楽しみであり、一刻も早く終わりにしたいものです。
型取りは、結局同じ形のものが型から出てくるだけのことです。
でも、型を割ったとき、その行為に意味はあったとなぜか思えるのです。
世界に意味づけられたものの型を取り、原型を抜いてみるとそこに在るのはむき出しの空洞です。
そこに別のものを流し込んで、型を割る。
出てきたものは少し変化した意味であり、彫刻になった行為です。
2025.9 對木裕里
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Texts for the exhibition
●伊藤 誠 Makoto ITO ≪2017 展覧会によせて≫
●菅 木志雄 Kishio SUGA ≪第11回大黒屋現代アート公募展≫
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